保護フィルターのもたらす影響
- 2017/8/29
- 夜景撮影テクニック
保護フィルターって必要なの?
写真愛好家の大半の方は、ご自身のレンズに保護フィルターを装着されているようですね。
レンズに汚れが付かないようにする目的で装着をされているようですが、果たしてそのメリットはどれだけのものがあるのでしょう?
最近発売のレンズ保護を目的とした無色のフィルターは各社とも高度なコーティング技術によって表面反射もかなり抑えられているため、日中の撮影においてはフィルター未装着の場合と比べてその差はほとんど無くなっていると聞いております。
では夜景撮影においてはいかがなものでしょう?果たして保護フィルターを装着するだけのメリットはあるのでしょうか?
結果は下の画像を見ていただければ一目瞭然、それなりに影響は出ているようですね。フィルターを装着するという事は1枚の窓ガラス越しに撮影をしているようなものですから、街灯のようにコントラストのある被写体を画面内に配置するケースでは内面反射、光の屈折による影響は避けられないと思われます。もちろんこれを「効果」として作風に加える、という事であれば装着しても良いのでしょうが…(^^ゞ
(撮影データ)
ボディ Canon EOS 5D MarkⅢ レンズ Canon EF24-105mm F4L フィルターは某社の最新モデル、新品を使用しています
■保護フィルター使用(左)と未使用(右) 焦点距離 32mm
保護フィルターを装着した場合、街灯の光芒にゴーストが発生しているのがわかります。撮影時の絞り値は11です。
■保護フィルター使用(左)と未使用(右) 焦点距離 74mm
ここでは絞りによる光芒の影響が出ないように、絞り開放F4で撮影をしています。
開放の場合、レンズ本体のゴーストが目立ちますね。街灯の上部にあるゴーストの大きさに違いが出ているのがわかります。
■保護フィルター使用(左)と未使用(右) 焦点距離 74mm
今度は絞り値を11にしてみました。すると先ほどまでは見られなかったゴーストに大きな差が生じました。
フィルターを装着した画像は街灯の周りに多数のゴーストが発生し、大変見づらい画像となってしまいました。フィルターが1枚入った事によって
内面反射が発生し、複数のゴーストを生み出しているように見えます。
フィルター未装着の画像はレンズ元来のゴーストのみが発生しているようですね。
☆結論☆
少しでもゴーストの発生を抑えたい、という事であれば、やはり保護フィルターは装着しない方がベターといえるでしょう。
今回は新品フィルターを使用してこのような結果となりましたが、汚れたフィルターや経年劣化したフィルターを使用した場合はさらに大きなが差が生じていた事と思われます。
今回は効果を見出すためにあえて至近距離で街灯を撮影してみましたが、イルミネーションや工場夜景など照明がたくさん入るような被写体を撮影する時も同様の結果が生じるのではないかと予測されます。
レンズ本体によるゴーストはレンズそれぞれ差があると思いますので、まずはご自身のレンズを使ってテスト撮影をされる事をお勧めします。
意外だった事はフレアに関してはほとんど差が無かった点ですね。さすが最新設計のフィルターだけの事はある?
(ご注意)
この現象は全てのレンズにおいて同様に起こるとは限りません。
レンズの焦点距離、開放F値、単焦点とズームの違い、メーカー、撮影距離など、各条件によって差が大きいレンズもあれば小さいレンズもある事を予めご了承ください。